コレステロールや中性脂肪の異常値について

皆様こんにちは。西宮市、夙川グリーンプレイス、藤本整形外科循環器内科クリニック、循環器内科担当の前田(藤本)惠子です。コロナ禍により健康診断控えや、運動不足のため、久々に採血検査をされましたら中性脂肪やLDL(悪玉)コレステロールが高いと指摘される方が増えておられます。

 2017年6月に診断基準が改定され、より細かく、厳格な基準が設けられました。

 LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が高くても、基本無症状でありますから、時限爆弾のように脳梗塞や心筋梗塞などの合併症が起きない限り、治療を開始されない方もおられます。

 具体的には、 ①LDL(悪玉)-コレステロール→140mg/dl以上、②HDL(善玉)-コレステロールが40mg/dl未満、③中性脂肪が150mg/dl以上、④Non-HDL-Cが150~169mg/dLの場合は「境界域高Non-HDL-C血症」、170mg/dL以上の場合は「高Non-HDL-C血症」となっております。

 上記から脂質異常症と診断された場合、どうしたらよいでしょうか。脂質異常症は、食事を含む生活習慣が血清脂質値と大きく関わっています。そのため、治療は基本的には食事療法・運動療法を中心とした生活習慣の改善を開始いたします。その際、今後起きうる可能性がある脳梗塞や、心筋梗塞などの動脈硬化のリスク評価を行います。家族性コレステロール血症といい、濃厚な家族歴のある方には、お薬が開始となる場合が多いです。

 参考にされるリスク評価の指標は、吹田スコアといって、簡単に言うと心筋梗塞をどのくらい起こしやすいかを見る点数表です。冠動脈疾患発症予測モデルと呼ばれ、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患に強い影響のある脂質異常かどうかを判断し、冠動脈疾患がどの程度起こるか日本人のデータをもとに調べることができます。

年齢、性別、喫煙の有無、血圧、HDLコレステロール値、LDLコレステロール値、耐糖能異常の有無、家族歴の有無などをもとに計算します。また、脈波検査や頚動脈エコー検査などで動脈硬化の進行具合をチェックすることも1つの判断材料になると思います。
これらの検査ですでに動脈硬化の進行が認められれば、お薬開始も選択肢でしょう。

また、LDLコレステロールや中性脂肪を下げるお薬は複数存在しますが、HDLコレステロールを上げるにはどうしたら良いでしょうか。

  HDLコレステロールの上昇に効果があるとされているのは、有酸素運動と体重減量です。

  脂質異常症と診断されましたら、ライフスタイルの改善、運動療法、食事はどのようなものがよいかなど少しでも疑問に思われましたら、いつでもご相談させていただきます。

 次回は、女性とコレステロールについてお話させていただきたいと思います。