牽引療法の効果

皆様こんにちは。西宮市、夙川グリーンプレイス、藤本整形外科循環器内科クリニック、理学療法士の泉本です。
今週は雨の日が多くなりそうです。

本日は当院の物理療法機器のご紹介です。頸椎や腰椎のヘルニア、神経根症などの患者様で手足に軽度のしびれがあったり、違和感がある方がよく使用しているものです。今までリハビリに馴染みのない方にはよく「あの機械はなんですか?」と聞かれます。見た目は大掛かりなものなので疑問に思われても当然です。

下の写真にあるように座っていただいて設定画面の操作を行うと、椅子がリクライニングし設定負荷量で骨盤部分を引っ張ります(腰椎牽引時)。リクライニングすることで腰椎の生理的カーブ(前弯)が真っ直ぐに近づきます。真っ直ぐになったところで牽引負荷がかかることでしっかりと椎間を引き離すことができます。左右の脊髄神経の出所である椎間孔と上下で隣り合う椎間関節部分をしっかり開大させることで軽度のしびれや、関節由来の腰部の鈍痛、下肢痛を軽減させることが期待できます。

安楽姿勢に自動で傾きます。

腰椎牽引療法を行うことで各脊椎間の分離ないし間隙の大きさの変化が生じます。脊椎運動の増加で骨を刺激し、骨密度を維持することも期待できます。緩徐な牽引力による靭帯の伸張は椎骨間の分離と同時に靭帯に備わる受容器や神経・血管そのものへの圧迫を軽減できます。

椎骨間に存在する椎間板には、圧の減少で椎間板中央の髄核や線維輪を中央に向けて移動させることも期待できます。関節面の分離により関節軟骨への圧迫が減り滑液の交換も活発となります。筋の伸張に伴う血流の改善と痛みの軽減、椎間孔の拡大は神経組織の圧迫除去も期待できます。

腰椎の牽引量は対象者の体重の1/2程度を限度として痛みや症状によって調整します。正しい方向の牽引力が加われば脊椎間および椎間孔が拡がり上・下の椎間関節面に加わる圧は減少します。そして下記の効果が期待できます。

  • 後縦靭帯に対する圧と異常緊張の緩和
  • 神経根圧迫と根周囲における循環障害などの刺激因子の除去
  • 筋の不均衡状態の除去
  • 神経系と筋系のとの間の悪循環の遮断
  • 筋系靭帯に対する一種のマッサージ効果により腫脹の除去と循環の改善 など

効果の出ない場合は牽引負荷量や方向などの再検討が必要です。場合によっては中止となる場合もございます。

また当院の牽引療法機器は頸椎の牽引も可能となっています。下記の写真のように牽引ベルトを顎部分に装着して行います。

顎の下に牽引帯をあてるので機械使用中の会話は禁忌です。

私自身は腰に既往はありませんが腰椎牽引後は腰が伸びてすっきりと気持ちがよいです。頸椎牽引であれば頭がすっきりしたり、上肢が温くなっているような感じがするという患者様の声が聞かれます。上肢、下肢にしびれがあるなど頸椎、腰椎に既往のある方は一度当院にて受診後、必要であれば物理療法、理学療法士による運動器リハビリテーションが可能です。よろしくお願いします。