それ、『テニス肘』ではないですか?

皆様こんにちは。西宮市、夙川グリーンプレイス、藤本整形外科循環器内科クリニック、理学療法士の泉本です。今週末は急に暖かくなりそうです。衣服の選別が難しいですが万全に準備しておきましょう。

今回は肘関節近くの痛み、外側上顆炎の話です。夙川グリーンプレイスにある当院では多くが西宮市、芦屋市に住む患者様です。こちらの地域ではテニスをしている方が多く上腕骨外側上顆炎の患者様が多い印象を受けます。

上腕骨外側上顆炎とは通称「テニス肘」と言われ肘外側の有痛性障害です。一度生じるとスポーツ活動だけにおさまらず日常生活でも痛みの為に活動制限を受けてしまうこともあります。上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019によると好発年齢は30歳代の後半から50歳代となっています。テニスなどのラケットスポーツで発症が多いとされています。

バックハンドでの衝撃が肘関節外側上顆炎の原因になります。

その主な病態部位は手関節を背屈(手関節を背側に曲げる動き)させる、短橈側手根伸筋を中心とした上腕骨外側上顆部の付着部における障害で、付着部の変性に伴う腱線維の微小断裂、部分断裂、滑膜の炎症、石灰化などとされています。腱の起始部は幅の狭い平型の腱膜で、この部分に強い張力が生じて起こると考えられています。またその他にも橈骨輪状靭帯の狭窄・断裂、滑膜組織の炎症などが障害になっているものがあります。

図は「プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系」より引用

テニスのバックハンドでの衝撃を手関節の背屈筋群、特に短橈側手根伸筋で抵抗しようとしてこの筋の起始部に微細損傷が生じると考えられます。日常生活では回内位(手掌面を下にして)でモノを持ち上げたり、タオルや雑巾をしぼったり、ドアノブを回す、モノを強く握る作業の繰り返しなどで外側上顆を起始とする伸筋群の緊張を高めます。

介護場面での使い過ぎやモノを強く握る反復動作でも起こります

現在、当リハビリテーション室でも外側上顆炎で通院されている患者様が多数いらっしゃいます。物理療法での治療アプローチとして疼痛のある筋に対して低周波治療、急性期〜亜急性期であれば微弱電流治療(マイクロカレント)での治癒促進、深部領域へのアプローチとして高電圧治療(Hi voltage)を使用しています。状態に応じて治療方法を選択し、加えて運動学、解剖学に沿ってマッサージ、ストレッチで疼痛の軽減、機能回復につとめています。スポーツ、日常生活での繰り返しにより肘の疼痛を感じましたら当院院長までご相談下さい。リハビリテーション室でもお待ちしております。