座ってても腰が痛くなったら… 

皆様、こんにちは。西宮市、夙川グリーンプレイス、藤本整形外科循環器内科クリニック、理学療法士、泉本です。

車の運転やパソコン、スマートフォン操作など、座っていても腰が痛くなることはありませんか。私自身も自動車の運転は好きですが毎日だと身体、特に背部〜腰部が痛くなります。

同じ姿勢を維持するということはその「カタチ」を支えるための筋収縮が起こっています。座ってじっとしているだけでも座骨より上にある身体の重みはかかっており、腰部や殿部、体幹筋の緊張が入った状態となっています。同じ姿勢で緊張状態が続くと筋肉内に存在する血管も圧迫され、血流循環が悪くなってしまいます。

血行不良による筋・筋膜性の腰痛に対しては軽い関節運動で筋肉自体を伸ばしたり、緩めて弛緩状態を作ってあげて痛みの慢性化を予防しましょう。

古典的には寝た状態で片足もしくは両足を抱えて腰背部の筋肉を伸ばす方法があります。膝関節を深く曲げると痛い方は膝の裏から抱えるようにしてください。骨盤が床から浮き上がるくらいまでしっかり上げるとより伸張感が増します。

寝た状態で行いにくい場合は、下の写真のように椅子に座ったままで前屈する方法もあります。さらに左右方向へ変化させることで腰背部の伸びる場所が変わることがわかります。

さらには下の写真のように重力を利用した自己での腰部牽引方法もあります。目的としては腰背部筋の伸張、筋緊張低下、血流改善、腰椎のアライメント改善などです。

ひと言で『腰痛』といってもその原因や種類は沢山あります。今回の運動は同一姿勢や運動不足による筋・筋膜性の腰部痛であれば効果的なことが多いです。不動傾向により筋肉の緊張が高くなってしまい循環不全に陥っている場合が多いからです。

現在も感染症リスクを避けるために自動車通勤や在宅ワークの方が多いと思います。運動不足になりがちで、なおかつ腰背部が痛くなるケースも多いのではないでしょうか?その場合の対処法として、まずはストレッチや関節運動で筋肉をリラックスさせてあげることで改善する可能性があります。

注意点としては既往歴に腰椎圧迫骨折や腰部のヘルニアがある場合です。腰部の椎間板ヘルニアでは前屈すると椎間板の髄核が後方へ移動し神経根症状として下肢への放散痛や痺れが生じるリスクがあります。ヘルニアに至らなくても椎間板性腰痛であれば前屈を強制すると腰背部にぼんやりとした鈍痛が生じてしまうこともあります。逆に椎間関節性の腰部痛であれば後屈で腰部に疼痛が生じます。その他、腰部脊柱管狭窄症や腰椎すべり症では後屈により腰部痛に加え下肢症状が出るケースもあります。

このように『腰痛』という言葉の括りは広く様々な原因や症状があります。ですので、すでに腰部に強い痛みを感じでいる方や明らかな下肢の痺れ、違和感がある方は受診を行い原因を精査する事を強くおすすめします。