日常場面での腰痛を予防しましょう

皆様、こんにちは。西宮市、夙川グリーンプレイス、藤本整形外科循環器内科クリニック、理学療法士、泉本です。12月も後半となりました。掃除、買い物等、何かとお忙しいかと思います。体調整えていきましょう。

皆様は腰痛を経験したことがあるでしょうか?突然に発症するいわゆる「ぎっくり腰」や毎日の立ち仕事が誘因となる慢性腰痛など『腰痛』という言葉の括りは広く、原因箇所や種類は沢山あります。大昔のヒトは4足歩行で移動していたのが進化の過程で2足歩行となりました。歩行動作で両手を使わなくてよくなり動作の多様性は広がりました。一方、重力下で2足歩行をするうえでは腰痛を発生するリスクも抱えるようになりました。

腰痛予防の原則としては、生活動作の中で腰部にかかる負担をどれだけ減らせるかが重要となります。日常の生活場面のほんの数例ですが順番に紹介していきます。

よく例として用いられる動作です。腰部を曲げて重心を落とし、腰部を支点として物を持ち上げるパターンです。筋力があれば持ち上げることはできますが腰部の筋肉、関節には多大な負担がかかります。右の写真にあるように股関節、膝関節をしっかり曲げた状態から物を持ち上げると下肢の筋力を発揮して物を持ちあげることができます。

次に体幹部分の回旋を伴って物を移動させる場合です。左の写真のように体幹部分の回旋だけで物を移動させようとすると腰部の筋肉、腰椎(腰椎椎間関節)の負担が大きくなります。体幹を捻る角度が大きい為、それに伴い腰部の筋収縮・活動時間も長くなります。腰椎椎間関節の可動性も、より要求されることになり関節を構成する周囲組織も負担となります。右の写真のように予め移動させる方向へ足先の向きを変えておくことで負担を軽くできます。

次に台所でお皿を洗ったりする場面です。立位で長時間の前傾姿勢となると、姿勢保持の為に腰背部の筋肉にはダイレクトに負担がかかっています。右側の写真のように片方の足を椅子にのせることで体幹部分の重みを軽減できるので腰背部筋の負担軽減となります。のちに述べますが前傾姿勢を少し緩めることもでき、腰椎の生理的カーブの維持にも繋がります。

最後にベッドからの起き上がりです。特に現在、腰が痛くて起き上がることが困難な方が適応であると思います。まず寝ている状態から両膝を立てます。次に両下肢と腰部を一本の丸太のようにして「ゴロン」と回転して寝返ります。その後、足の重みを利用しつつ上肢の力でベッド面を押して身体を真っ直ぐにします。体幹部分の動きをあえて出さないようにして身体を起こすことで腰部の負担を減らします。

脊柱は頚椎と腰椎で前弯しています。ヒトは身体の「前」で作業をします。かがんだり、前傾姿勢が基本的に多くなるのは仕方ないとして、いかに腰背部の負担を減らしていくかが重要です。頭部の重さだけでおおよそ4〜5kgあると言われています。前傾姿勢となると頚椎や腰椎の「前弯」といった生理的なカーブも少なくなり、「ストレート」となっていきます(生理的なカーブがあることで上半身の重みを軽減しているとも言われており生体に備わった大切な構造です)。また、背面で支える筋肉(頚部や腰部の脊柱起立筋群)や関節支持組織の負担も大きくなり「痛み」つながってしまいます。今回紹介した動作は生活場面のほんの数例です。できる範囲で姿勢に注意して、痛みを起こさないように動作をしていきましょう。