心身を整える『自律神経』

皆様こんにちは。西宮市、夙川グリーンプレイス、藤本整形外科循環器内科クリニック、理学療法士の泉本です。先週からの引き続きとして「自律神経」について解説します。春は寒暖差や環境の変化により心身ともにストレスを感じる機会が多い事は前回内容で述べました。そうした結果、自律神経の乱れにつながる可能性があるのですが、その「自律神経」とはいったいどういった神経でしょうか。

人間は特別に意識しなくても心臓は鼓動し、胃や腸の消化器は食物が入れば消化吸収されます。気温が高くなれば自然と汗をかき体温の調節も行います。これらは全て「自律神経」による体内の恒常性を維持する機能(ホメオスタシスと言います)で生命活動していくうえでは必須のものです。「自律神経」は絶え間なく内臓をコントロールする不随意的、無意識の制御システムです。


大きな特徴的としては全身を活性化させる交感神経と抑制に働く副交感神経が存在します。

交感神経の細胞体は脊髄の胸髄および腰髄の側角にあり、脊柱管(脊髄が通る脊柱のトンネル)を出ると左右の脊髄神経に分かれて神経節をつくります。交感神経の神経節は頚部3対、胸部10〜12対、腰部4〜5対、仙骨部4〜5対あります。神経節は上下につながって脊椎の両側に交感神経幹を形成しています。その後の経路は、途中でニューロン(情報処理、伝達に特化した神経細胞)を変えて末梢に分布します。
一方、副交感神経は脳幹(大脳と脊髄をつなぐ部位、間脳、中脳、橋、延髄をまとめた名称)と仙髄から始まります。交感神経菅のような神経幹はつくりませんがこちらも途中でニューロンを変え内臓等へ分布しています。

人間が心身ともに健康でいる為には体を活動的にする交感神経とリラックスもしくは抑制に作用する副交感神経の相反する2系統がバランスをとりながら心臓や胃、腸、血管など、臓器の働きを保たないといけません。

もともと人間はある程度のストレスには耐えられるようになっています。しかし時代が進み、技術も発展しました。空調が完備された環境や昼夜逆転する生活リズムが慢性化すると自律神経は機能不全を起こしてしまいます。また社会の中で複雑化した仕事内容や人間関係のストレスも体の不調をきたします。「自律神経失調症」という症候・症状はまさにこの状態です。

「自律神経」は自分の意志ではコントロールできません。身体の症状や自身の心理状態などに注意し、頑張りすぎずに自分自身をいたわってあげる視点が必要と思われます。