杖の正しい使用方法

皆様、こんにちは。西宮市、夙川グリーンプレイスにある藤本整形外科循環器内科クリニック、理学療法士の泉本です。11月半ばを過ぎて紅葉シーズンです。感染対策、体調管理をしつつ外出の機会を伺っておられるのではないでしょうか。

今回もリハビリテーション室で患者様から受けた質問や感じたことを紹介させていただきます。歩行時の補助具となる1本杖の使用方法についての話です。何らかの原因で歩行状態が低下し杖をはじめて使用する方や、すでに使用しているけど今まで使い方の指導を受けていない方は簡単に『基本』の考え方を整理してみましょう。

例えば、下図の写真のように右膝が痛い方(膝にピンク色のバンドを巻いています)を例に挙げます。杖を持つ際は右手で持つほうがよいでしょうか?それとも左手で持つほうがよいでしょうか?

正解は痛い右足の反対側である左手で杖を持ちます。

患者様からはよく「痛い足側の手で持つんじゃないの?」「何となく使ってて知らなかったです」という声があります。どうしてなのか?を簡単に説明させていただきます。

ポイントしては身体を支える立ち足となった時の状況を考えます。

左手で杖を持つ(痛い右膝と反対側)と右足と杖を前へ出す時に、痛くない左足で全体重を支えることができます。次に左足を出す際には痛い右足と杖の2本で身体を支えた状態で左足を出すことができます。この時、痛みのある右膝にかかる重みは杖の存在で分散させることができます。

反対に、右手(痛い右膝と同側)で杖を持つ場合を考えます。立位から左足と杖を出して一歩前へ進む際には、痛い右足1本で全体重を支えることになってしまいます。続いて右足を出す際は痛くない左足一本で体重を支えられるにもかかわらず、杖で重みを分散させていることになります。

どうでしょうか。少しややこしいかもしれませんが、実際に杖を持って歩行をしてみると理解しやすいですよ。

足は痛くないけど歩行状態が不安定な時は利き手で杖を持つことが基本となります。しかし、持ち手の握力がない、何らかの理由で持ちにくいという場合はこの限りではありません。最終的には一番歩きやすい使用方法は個人によって対応していかないといけませんが、下肢の問題だけであれば上記のような考え方が基本となります。

実際に杖をはじめとした歩行補助具を持つべきか検討されている方は一度当院へご相談ください。お待ちしております。