歩いた後に膝が痛い時はありませんか?
皆様こんにちは。西宮市、夙川グリーンプレイス内、藤本整形外科循環器内科クリニック、理学療法士の泉本です。日中は汗ばむくらいの気温となってきました。体調管理は大丈夫でしょうか?
さて今回は膝の内側の痛み「鵞足炎」の話です。「鵞足(がそく)」とはガチョウの足のことです。下図にあるように太ももの内側にある筋肉、縫工筋、薄筋、半腱様筋の腱が集合して脛骨内側に付着します。
歩いたり、走ったりして膝を曲げ伸ばしする時にこれらの腱が大腿骨の内踝や脛骨の内踝でこすれ合いが起こります。繰り返しの運動や過度なストレスで筋、腱、滑液包など隣り合った組織でもこすれてしまい炎症、痛みが発生します。
「鵞足」付着部は複数の筋肉の腱が集合しているので張力負荷も集中します。この集合腱には膝関節に対して下腿を内旋させる(内側にひねる)力が働きます。鵞足炎ではステップワークが必要な激しい運動でよく起こります。例えばサッカーやバスケットボールなどではターンのたびに膝関節に回旋ストレスがかかります(膝が外旋方向にひねられる際には鵞足は反力として働きます)。若い人ではスポーツをきっかけに起こることも多いでしょう。
一方、日常生活でも歩行時や階段昇降で痛みが出る場合もあります。運動習慣として歩行を取り入れている方でもいつもより長い距離を歩いたり、山登りなどの後で痛みを感じられた経験があるのではないでしょうか。その他にも外反母趾や偏平足の影響、変形性膝関節症によるX脚は鵞足の走行する膝内側面に負担がかかり気味です。また、歩き方自体の修正が必要な場合もあると思います。
当クリニックのある夙川〜芦屋地域では健康増進の為に歩行を取り入れている患者様が沢山おられます。地域の特性として坂道が多いので膝内側、薄筋遠位部で疼痛を訴えられる患者様が多いように感じています。
痛みが生じた場合の対応としては「鵞足」を構成する筋にストレッチを行い緊張緩和と疼痛軽減をはかります。それと同時に「鵞足」が引っ張られすぎないように拮抗方向に働く筋である股関節の外旋筋(中殿筋、大殿筋)のトレーニングを行います。膝関節にかかる筋力のバランスを整え、動作の安定性を上げることが鵞足炎の疼痛予防となります。
スポーツをやっていない方でも変形性膝関節症や足部の問題から膝の内側が痛くなるケースがあります。詳しくは一度当院へお越しいただきお悩みをお聞かせください。